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城井オブザーパー 教育ということに関しては、民俗芸能の中にみんな通過儀礼的なものがきちっと入っておりますので、何歳になったらこういうものが演じられるとか、要するに元服式になったらこの演目が演じられるよというものが入っておりました。それを長老たちが子供たちをすごいサポートをして演じさせるものですから、そこできちっとした成長の、人間が人間であるための儀式みたいなものがきちんとできるんです。ですから、そういう要素も、鈴木先生や地域の人たちが支えているという中で大きいと思うんです。
それと、過疎ということは、やはりそこに住んでいる人たちが誇りをもてないと、何か起爆剤的なことをやっても一過性になってしまうと思うんです。ですから、一つの起爆剤だったらだれでも仕掛けられるし、ちょっと知恵ある人が役場にいればある程度できると思うんですが、それを継続していくというのは非常に難しいと思います。
鈴木委員長 先ほどの井上先生のお話ですが、行政がどこまで文化にかかわり合うかという問題なんですね。極論からすると、政治、行政は文化にかかわるべきではないという論理もあるわけです。それは、あくまでも民衆のもので、せんじ詰めれば個人個人のものであって、その個人の集合体としてまたそこに一つの芸能ができるわけであって、そういうものにかかわり合うべきではないと、そういう議論も昔からどこの国にもあるんですね。
しかし、日本の体質から、私も熊本に行って、地方というのがこんなに官庁主導型であり、官庁依存型の組織なのかということを初めて知りました。何が何でもお役所なんですね。まず、自分たちが何かをしようと思うと、まずお役所にお願いしますなんですね。それが村役場にお願いします、町役場にお願いします、県庁にお願いします、何でもお願いしますなんです。自分のほうから何かをやろうという意識が、率直にいって地方というのは、「地方の時代」という言葉を聞いておりましたから、もっとやる気があるんだろうと思って行ったんです。そうしたら事実は全く逆でございました。しかもそこで過疎という事実に直面しまして、もう何をやってもだめなんだというあきらめが、私は全国を歩きますが、地方に充満しているということを一つ重大な問題として受けとめたんです。
井上委員 行政の人もプライベートな生活に戻れば、つまり夜、家に帰れば一個人であり、住民なわけですから、そういう立場でそういうところに参画をして、かつリーダーシップを発揮してもらうということは大いにやってもらいたいと思いますね。
鈴木委員長 ところが、事実は伝承するために役場の人たちが動員されるわけです。役場の人がまず入って、私も一つ興したところがあるんです。100人の踊りをつけて復元したところがあるんです。それも今ずっと維持してくれているんですが、それに携わっている半分が役場の人なんです。
井上委員 だから、それは強制的に、例えば上司からいわれて、本当はやりたくないんだけれども、そこに参加しているとか、つまり義務的なものであればもってのほかです。

 

 

 

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